お役立ちコラム

田嶋智太郎の経済トレンド・ウォッチング

「地球と人類の未来のために求められる投資姿勢」


2018年10月01日      

 

前回(9月)更新分の本欄で、日経平均株価が2万3000円の大台にしっかり乗せる可能性について「9月以降は大いに期待していい」と述べた。実際、9月半ば頃には“2万3000円の壁”をクリアに上抜ける展開となり、執筆時には2万4000円台での定着にトライする格好となっている。前回も述べた通り、かねて株式市場には「米中間選挙の年は決まって年末株高になる」というアノマリーがある。今回も、それを地で行くこととなる公算は大きいと言えるだろう。

そんな株式市場で昨今、とくに注目ワードとして取り上げられるケースが多いものの一つに『SDGs(エス・ディー・ジーズ)』がある。これは、Sustainable Development Goalsの略で和訳すれば「持続可能な開発目標」。2015年9月の国連サミットで採択されたもので、国連加盟193カ国が2016年~2030年の間に達成すべく掲げた目標である。
 
「貧困をなくそう」、「飢餓をゼロに」、「気候変動に具体的な対策を」、「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」など、大きな17の目標とそれらを達成するための具体的な169のターゲットで構成されている。

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 最近よく株式市場で目耳にするワードとしては、他に『ESG(投資)』というのもある。周知のとおり、これは環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取ったもので、これら3つの観点を重視したうえで投資家が投資先を選別する姿勢が望ましいとされている。そして、実のところ「ESG」と「SDGs」はともに国連(国際連合)を中心に生まれた基準であり、互いが非常に深い関係で結ばれている。
 言うなれば、ESGは機関投資家を中心に広く投資家が投資先を選別する際に考慮したい基準であり、SDGsは投資家に選別してもらうべき各企業が導入したい経営の基準ということになろう。

国内においては、主に官邸と外務省が後ろ盾となって「持続可能な開発目標(SDGs)推進本部」が結成され、2016年5月から同本部主催の会合が定期的に開催されている。それに併行して同本部は、SDGsの達成に向けて、優れた取り組みを行う企業や団体などを表彰する「ジャパンSDGsアワード」を実施しており、昨年(2017年)行われた第1回目のアワードでは北海道下川町や金沢工業大学、吉本興業、福岡県北九州市などが各賞を受賞。上場企業では、住友化学株式会社がSDGs推進副本部長(外務大臣)賞、株式会社伊藤園がSDGsパートナーシップ賞(特別賞)を受賞している。

 

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 今年(2018年)も12月に第2回目のアワード受賞者発表が予定されており、一体どのような企業や団体が受賞するのか楽しみであるが、言うまでもなくアワード受賞の可否に関わらず持続可能な開発目標の達成に向けて日々努力し、工夫する企業の姿勢が何より重要だ。

ちなみに、外務省のホームページではSDGs経営への積極的な取り組みが見られる数多くの企業について、その取組事例を周知すべく各企業のホームページとのリンクが貼られている。例えば、大和ハウス工業株式会社の場合、脱炭素社会の実現とエネルギーの効率利用を図るための「エネルギー“ゼロ”の住宅・建築・街づくり」に注力するとして、エネルギー自給住宅の開発・普及や「ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング)」の実現に向けた自社施設での実証プロジェクトなどを紹介しており、それは同業他社などにとっても大いに参考になる事例と言える。

 

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 株価が全体に強含みで推移し始めた状況下、投資する側も投資される側も、ともに地球と人類の未来に優しい存在であることを常に意識しておくことが不可欠になってきている。

 

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t_tashima  田嶋 智太郎(たじま ともたろう)

1964年東京都生まれ。慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJモルガン・スタンレー証券勤務を経て転身。転身後は数年間、名古屋文化短期大学にて「経営学概論」、「生活情報論」の講座を受け持つ。過去20年余、主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、引いては個人の資産形成、資金運用まで幅広い範囲を分析・研究。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等の講師を務め、年間の講演回数はおよそ100回前後、これまでの累計講演回数は3000回近くに上る。

 

 

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