マンション経営のアレコレ

~敷金取り扱いに関する明文化~

「賃貸住宅標準契約書の改定について①」


2018年11月20日      

民法改正のニュースが話題となっていますが、明治時代(1896年)に制定された法律である民法が平成29年(2017年)5月26日、民法の一部を改正する法律案が参議院で可決、成立したことで2020年4月1日より施行されることとなりました。賃貸借契約に関しても、国土交通省から民法改正等を踏まえた「賃貸住宅標準契約書」の改定が発表されています。では賃貸借契約において改定された事項で重要となる項目をピックアップし、実務への影響について解説しましょう。

 

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■敷金について
一般的に賃貸契約を結ぶ際に初期費用として家賃の1~2か月分程度を敷金として預かりますが、この慣習はあくまでも不動産業界での暗黙のルールのようなもので、法律での定めはありませんでした。
ですが、不明瞭な点も多く敷金をめぐるトラブルが相次いだことから、改正案では過去の裁判例をもとに敷金についての規定が新たに追加され、次のように定義されました。

いかなる名義をもってするかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保とする目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。
(引用:法務省「民法(債券関係)の改正に関する要綱)

法律用語になるので難しく書かれていますが、敷金や保証金は家賃などの担保として預かるものは民法上で敷金として定義されたのです。
それと同時に敷金についての規律も設けられました。その内容を要約すると、

1)以下のア、イに該当するときに、貸主は敷金(上記記載の▽参照)を受け取っている場合において、受け取った敷金の額から賃貸借のなかで生じた貸主へ支払うべき債務額を控除した残額を返還しなければならない。

ア:賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき。
イ:賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき。

2)貸主は、賃貸借のなかで生じた債務を履行しないときは、敷金をその債務の弁済に充てることができる。なお、借主から敷金を債務の弁済に充てることを請求できない。

 

となり、これまで「物件を明け渡すまでの間、敷金をもって賃料、共益費その他の債務と相殺することができない」という旧法から、家賃滞納が発生した場合等には、貸主は明け渡し前でも敷金を充当できることが明記されたことになります。

 

この他にも、賃借人が賃借権を譲渡した場合も、賃貸人は旧賃借人に敷金を返還しなければならないという規定も追加されています。

 

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■まとめ
今回は、民法改正法に伴って施工される賃貸住宅標準契約書の中から「敷金」に着目して記載してきましたが、現時点では敷金の意味についての認識の食い違いはほとんどなく、敷金自体が賃貸借契約における争点になることはほとんどありません。

そのような意味では、民法上の定義がこれまでの判例によって形成されていた共通認識が明文化されたに過ぎないというのが、民法改正の敷金に与える影響といえるでしょう。

賃貸物件の管理やお困りのことがありましたらグランシャス株式会社までご一報ください。

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