お役立ちコラム

田嶋智太郎の経済トレンド・ウォッチング

「米中間選挙の年は年末株高!?」


2018年09月03日      
 
 

 米国の株式市場では、8月末にかけてS&P500種やナスダック総合指数など代表的な株価指数が連日のごとく史上最高値を更新し、NYダウ平均も年初につけた史上最高値=26616ドルに「あと数百ドル」という水準まで値を戻す“超強気”の展開が見られている。
 それに連れて、足下では日経平均株価もあらためて2万3000円の大台に挑戦する強めの動きとなっている。結局、8月中に日足の終値で2万3000円を上抜けることはできなかったが、9月以降は大いに期待していいものと考える。その根拠を以下に幾つか挙げておこう。

 

名称未設定 52

 

 まず、8月は市場の主要プレーヤーであるところの海外投資家が長い夏季休暇を取っており、例年のごとく市場は閑散とし、往々にして上値の重い展開を余儀なくされる。事実、海外勢は昨年まで過去8年間連続で、8月に日本株を売り越してきていた。おそらく、今年も9年連続して8月は売り越しとなろう。それでも、なんとか8月中に一時2万3000円を超える場面が見られたのであるから、それは十分に評価できるところと言えるだろう。

 また、8月半ばごろに一旦大きく拡がったリスクオフのムードも足下ではジワリ後退してきている。既知のとおり、8月半ばごろというと、まずトルコリラが急落した影響で世界のマネーがドルに一極集中し、かねてから弱含みで推移していた中国人民元も一段安。それに加えて、上海総合指数など中国の株価指数も一時急落したうえにNY金先物価格や銅先物価格なども大きく値を下げ、とにもかくにも暗いムードが市場全体に漂った。

 

名称未設定 50

 

 そして、後に全体のムードは明らかに変わり始める。今思えば、8月半ばごろというのは一種の「陰の極」だったのではないだろうか。ちょうどその頃、ロイター通信が「トルコリラ安で外国人客が爆買い」と報じていたことが思い出される。「通貨(リラ)安で大幅安となったバッグやアクセサリーなどを求めてトルコの高級ブランド店に外国人客が殺到した」というのである。こうしたニュースが飛び出すタイミングというのは、往々にして一つの“潮時”というか、セリング・クライマックスのタイミングであったりするものである。

 その実、下げ続けていたトルコリラや人民元、上海総合指数や金先物・銅先物価格なども後に下げ一服となり、それ以降は急速に市場からリスクオフムードが後退した。

 

名称未設定 51

 

 一方、米中間選挙の日程が近づくにつれ、足下で米トランプ政権の政策の力点やアピール・ポイントが通商政策から減税やインフラ投資などよりわかりやすい政策にシフトして行こうとしている点も見逃せない。

 実際、米政権はこのほど北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しでメキシコと大筋合意することとなり、目下はカナダとも合意に至るとの見方が強まっている

 気になる中国との通商協議については11月の両国首脳会談まで持ち越される見通しとなっており、当面は材料として扱いにくい。まして、すでに中国は相当に切羽詰まった(=打つ手なしの)状態にあると見られ、今後は一定の“講和”条件を受け入れて行く可能性も大いにあると考えられる。

 振り返れば、今年は年初に米・日株価が一旦高値を取りに行ったものの反落後は押しなべて冴えない展開がしばらく続くこととなった。その要因は、一言に集約してしまうと「とどのつまり、今年は米中間選挙の年だから」ということになる。例えば、米政権が諸外国との通商交渉に強権を振るうのは地方の予備選を意識してのことであり、その実、これまでトランプ米大統領が強権的な言葉をツイートするのは決まって何処かの予備選を間近に控えたタイミングであった。

 

名称未設定 53-1
 

 そんな予備選もじきに(9月半ばまでには)終わる。そして、また相場は思い出すのである。「米中間選挙の年は決まって年末株高になる」というアノマリーを…。

 
 
過去の≪田嶋智太郎の経済トレンド・ウォッチング≫はコチラ
   
 
t_tashima  田嶋 智太郎(たじま ともたろう)

1964年東京都生まれ。慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJモルガン・スタンレー証券勤務を経て転身。転身後は数年間、名古屋文化短期大学にて「経営学概論」、「生活情報論」の講座を受け持つ。過去20年余、主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、引いては個人の資産形成、資金運用まで幅広い範囲を分析・研究。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等の講師を務め、年間の講演回数はおよそ100回前後、これまでの累計講演回数は3000回近くに上る。

一覧に戻る