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現役最古参のサラリーマン大家の先輩コラム

「騙されないための売買契約書締結」


2018年07月04日      

不動産経営においては、契約書を取り交わすことが多いですが、契約書締結において、失敗を避ける、リスクを低減させる為の注意点は何でしょうか?という御質問を良く受けます。

契約書と言えば、「売買契約書」・「建築請負契約書」、「抵当権設定付金銭消費貸借契約書」、「仲介契約書」等でしょう。

0705① 

まずは、「売買契約書」。まずは、時系列的な日付です。
契約締結日、手付金交付日、融資白紙解約期限日、決済・引渡日、瑕疵担保責任期限日等、時系列的に矛盾がないか、スケジュールに余裕があるか等、みます。
特に、手付金交付日、融資白紙解約期限日、決済・引渡日については、資金繰りの締切が絡みますので、要注意です。

売主・仲介会社・金融機関等は、売主が相続・事業等で資金繰りに窮している場合、3月末・9月末等期末決算の時等、焦らせてくる場合が多いですが、自分のペースを乱されずに落ち着いて、余裕を持たせて行動しましょう。
中には、融資承認、金銭消費貸借契約締結したものの、融資白紙解約期限日が過ぎて、決済日の前日になって、何の理由も無く、融資をドタキャンする悪質な金融機関もあります。

更には、それに便乗して、手付金を返還しないばかりか、違約金迄請求してくる売主、義務も果たさず、取引が不成功になっているのにも関わらず、成功報酬としての仲介手数料を請求してくる不動産会社もあります。

瑕疵担保責任の期限については、新築の場合は、構造上重要な部分(基礎・柱・壁・屋根等)・雨水の侵入に関する部分等については、品質確保法に基づき、10年間です。
中古の場合は、売主が宅地建物取引業者の場合は、宅地建物取引業法に基づき、2年間以上です。
その他の場合には、特約で排除することが可能ですので、特約条項には注意しましょう。
間に、不動産会社の役員・従業員を個人として入れて、瑕疵担保責任を免れる不動産会社もあります。

0705②

続いて、金額です。
売買金額、それをベースにした、手付金、残金、違約金、融資金額等です。
バブルの頃等においては、融資金額を増やし易いようにする為か、売買金額を多めにする手法もあったようです。
売買金額が多めの「売買契約書」も別に締結する、ただ、ここで注意すべきことは、悪質な金融機関・金融機関指定の不動産仲介会社が、購入者・借主の知らないうちに、社内稟議を通し易くする為か、「重要事項説明書」・「売買契約書」原本をコピーした上で、金額等を改竄し、利用することもあります。
そして、いざトラブルになったら、何も知らない購入者・借主を有印私文書偽造・詐欺だ等と、濡れ衣を着させたり、やりたい放題です。
従って、本当の「重要事項説明書」・「売買契約書」は、案・最終版のコピー・PDF・原本等はきちんと保管し、且つ、金融機関・不動産仲介会社等宛への電子メール等証拠を残しておくことが重要です。

その他としては、以下の通りです。
融資白紙解約条項
もし、融資が通らなかった場合、売買契約を白紙解約し、手付金返還・違約金不発生とする条項です。
売主によっては、嫌がる場合もありますが、最悪、現金で購入できる、手付金放棄・違約金支払いもできる覚悟が無い限り、入れておくべきです。
金融機関は信用してはいけません。
金融機関・借入条件(金額・期間・金利等)も明確になっていればベターです。
先述した白紙解約期限には注意です。

又、解約権限留保型か当然解約型かは、一長一短あります。
解約権限留保型は、「白紙解約することができる」といったように、もし融資が不承認でも、他の金融機関にトライしたり、最悪現金購入したりの選択余地を買主に残そうという趣旨です。

その反面、融資承認・金銭消費貸借契約締結後、白紙解約期限経過後になって、ドタキャンをくらったら、白紙解約を言う機会もありません。
その場合は、「融資不承認の場合は、白紙解約となる」といった当然解約型の方が有利となります。

0705③

訴訟管轄裁判所:通常は、物件の所在地が多いようです。
物件所在地が遠方の場合には、いざとらぶったら、手間暇・時間・コストが大変です。
自分の傍だと便利ではあります。

売主:売主が現在の本当の所有者・売主か確認します。
相続が発生しているのに、不動産登記簿上の所有者が変更されていない場合、所有権移転登記が大変です。

他人物売買が行われることもあり得ます。
又、間に、不動産会社、不動産会社の役員・従業員が入ることもあります。
間に不動産会社の役員・従業員を入れ、売買差益を抜いた上、仲介手数料も取ろうとする不動産会社もあります。

更には、クーリングオフの適用除外瑕疵担保責任逃れも図ろうとするのです。

又、売主の住所が不動産登記簿上の住所と一致していない場合には、面倒になりますので、早めに、印鑑証明書・住民票・運転免許証等でも確認しておくことです。

対象物件:所在地・地目・土地の面積、建物の構造・階数・延べ床面積・築年月等は、確認しましょう。
所在地では、自然災害リスク(地震・火災・津波・原子力発電所爆発等)、需給関係、地目は宅地か?土地の面積は、登記簿上の面積か実測か?建物の階数が4回以上の際はエレベータは?土地の面積・延べ床面積から容積率は?築年月から新耐震基準(1981(昭和56)年6月以降建築申請)か?等、ポイントかなと思います。
特約。
宅地建物取引(宅建)協会では、雛型を作っていますが、特約で、一部条項を排除することがあります。
よくあるのが、先述した融資白紙解約条項。
そして、瑕疵担保責任条項です。
新築の場合は、品質確保法によって、構造上重要な部分(基礎・柱・壁・天井等)・雨水侵入に関する部分については10年間、中古の場合は、売主が宅地建物取引業者(宅建業者)の場合は2年間以上となっていますが、中古で売主が宅建業者以外の場合には特約でこの瑕疵担保責任を排除することが可能なのです。

 

【まとめ】
ミニミニバブル気味な不動産業界。
悪質な売主・不動産会社・金融機関も跋扈しています。
日付・金額・融資白紙解約条項・瑕疵担保責任・特約条項等、売買契約書の重要なポイントは、充分にチェックしましょう。

 

 

【参考図書】

「サラリーマンだからこそ「節税大家さん」で儲けなさい!」(㈱東洋経済新報社)

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コラム自己紹介用 加藤隆   加藤 隆(かとう たかし)
バブル崩壊を生き抜いた現役最古参のサラリーマン大家さん。所有物件100戸、実践的・総合コンサルティング系マルチタイプ投資家。不動産経営を通じ、サラリーマンの経済的・時間的・精神的自立を提唱する。

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