お役立ちコラム

田嶋智太郎の経済トレンド・ウォッチング

「4月以降、様々な円高要因は徐々に解消されて行く!?」


2018年04月03日      

既知のとおり、2018年1月1日時点におけるわが国の公示地価は、商業・工業・住宅の全用途(全国)で3年連続の上昇となった。

3年連続は1992年以降、つまり平成バブル崩壊以降で初めてということであり、それは特筆すべきである。そのことから考えるに、やはり日本経済とそれを取り巻く主要国経済全体は、良かれ悪しかれ着実にバブルの様相を呈し始めていると言っていいだろう。

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もちろん、このバブルはまだ始まったばかりであり、その証拠に米・日をはじめとした主要国の目下のインフレ状況はなおも低調で、結果的に金利水準も低いままである。過去のバブル期とは「時代も状況も異なる」ということは百も承知だが、それにしたって足下の主要国経済の“体温”は、まだ低過ぎると言わざるを得ない。
 

たとえば、一つに執筆時の日経平均株価の予想PERは12.5倍程度という極めて低い水準に留まっている。
過去に本欄でも幾度か触れているように、この値は基本的に大よそ13.5~16.5倍ぐらいの間で推移するのが一般的であり、いくら何でも12.5倍というのは低すぎる。

これほどまでの低水準に放置されている理由としては、一つに「足下で円高傾向が強まっており、将来的に国内企業の業績鈍化が懸念される」、あるいは「件の『森友問題』を受けて安倍政権の政策運営基盤が弱体化する恐れがある」などといったものであり、ことに複数挙げられる円高の原因というものが其々厄介ではある。

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では、足下の円高傾向は今後も長らく続くのか。

間違いないことの一つは、3月決算期末を通過しさえすれば、それまであった本邦機関投資家による米国債の損切りに伴うドル売りや、その損失穴埋めのために行われてきた日本株の(利益確定)売りなどがキレイさっぱり目の前から消えてなくなるということである。

また仮に今後、安倍政権の行方が不透明さの度合いを一層増して行ったとしても、その一方で日銀の金融政策が容易に方向転換できないという事実だけは動かしようがない。

市場で一頃極端に警戒された米中貿易摩擦の問題にしても、それが「そもそも米大統領による中間選挙目当て」であることは見え見えであり、結局は米中双方による当面の対話と協議によって“政治的に適当な”落とし処というものが見出されて行くこととなろう。

そして、何より間違いないのは「依然として米国経済のファンダメンタルズはすこぶる強く、いずれはドルも相当の価値の高さを示す水準に向かって行くだろう」ということである。

米連邦準備理事会(FRB)は、3月下旬に行われた米連邦公開市場委員会(FOMC)において事前の大方の予想通りに米政策金利を1.50~1.75%にまで引き上げた。
よって、年内の利上げがあと2回に留まったとしても年末までに2.00~2.25%の水準まで引き上げられる可能性があるということになる。

つまり、米政策金利は年内にもオーストラリアやNZ(ニュージーランド)の政策金利の現在水準を超えて、先進主要国のなかでも最も高い金利水準となる可能性が高いのである。

よって、そういつまでもドルが不相応に安い水準に放置され続けるはずはないと考えるのがやはり適当であろう。

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この4月以降、遅かれ早かれ対円でドルが反転しさえすれば、日本株の上値のつかえも一気に外れ、過度な割安状態は解消される方向へと着実に向かうこととなるだろう。
株価と地価の連動性が高いことは言うまでもなく、日本株が妥当水準を目指す動きとなれば、
自ずと2019年の公示地価も「全用途(全国)で4年連続の上昇」となろう。

それでも最近の地価上昇の見逃せない要因の一つとなっている『東京2020(五輪)』は、まだその先に控えているのである…。

 

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t_tashima  田嶋 智太郎(たじま ともたろう)

1964年東京都生まれ。慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJモルガン・スタンレー証券勤務を経て転身。転身後は数年間、名古屋文化短期大学にて「経営学概論」、「生活情報論」の講座を受け持つ。過去20年余、主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、引いては個人の資産形成、資金運用まで幅広い範囲を分析・研究。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等の講師を務め、年間の講演回数はおよそ100回前後、これまでの累計講演回数は3000回近くに上る。

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