お役立ちコラム

田嶋智太郎の経済トレンド・ウォッチング

「日・米とも景気拡大の足取りは確り」


2017年08月01日      

連日のごとく真夏日や猛暑日が観測される今年の夏、高い気温が国内の消費熱をも高める役割を果たしている模様です。

ビール類や清涼飲料水、アイスなどの売れ行きが好調であることはもとより、エアコンや高価格帯の扇風機などといった一部の家電製品も売り上げを伸ばしていると伝えられています。

そんななか、足下で本格化している国内企業の4-6月期決算の内容も全体に好調なものが目立っており、よく「4-6月期としては過去最高」などという声も聞かれます。

特に、スマートフォン(スマホ)の高性能化などがけん引する格好で電子部品の受注が一段と拡大しており、多くの企業が2017年度通期の業績予想を上方修正してくることも期待されます。
もちろん、それだけ将来的な株価の上値余地も拡がりやすいというものであり、実際、目下の国内株式相場は日々小動きに終始しながらも基本的には底堅い推移を続けています。

 

 

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去る7月21日、内閣府がまとめた2017年度の「年次経済財政報告(経済財政白書)」を見ても、足下で国内企業の多くが景気の先行きを明るく見通している姿がハッキリと見て取れます。

先行きを強気に見る企業の設備投資は活発化しており、深刻な人手不足を補う省力化投資や一層高まるインバウンド需要に応えるための投資など、経済構造の転換に対応した前向きな企業の活動が目立っています。

  そうしたことを踏まえたうえで、今回の白書は「生産性向上や賃上げ加速を通じてデフレ脱却につなげるべき」、「生産性向上などで企業の予想成長率は高まり、設備投資はさらに増える余地がある」などとも指摘しているのです。

 

ただ、今回の白書は世界経済の不透明感について、各国の新聞記事をもとに経済政策の不確実性を数値化する『経済政策不確実性指数』を引き合いに出し、その先行きには懸念があるともしています。

英字新聞

 

確かに、米国ではトランプ政権の経済(財政)政策の先行きに関する不確実性が依然として高い状態が続いています。

とはいえ、そもそも経済政策というものは「財政」「金融」の2本柱であり、米国の金融政策はなおもすこぶる適正に運営されていると考えられます。

周知のとおり、今年は年初から「米連邦準備理事会(FRB)は3回の利上げを実施する可能性が高い」とされてきました。
そして、すでに3月と6月に2回利上げが実施されており、残る1回は12月と見る向きが多くなっています。

あえて「9月ではなくて12月」とする見込みであることは、決して“利上げ時期の先送り≒米景気の回復度合いが思わしくない”ということではありません。

 

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どうやら、9月はFRBが過去の量的金融緩和(QE)によって大量供給した資金の回収を始めるタイミングに充てられるものと見られ、それは実のところ6月の利上げによって米政策金利が1.00-1.25%の水準に達したこととの兼ね合いが強いと考えられるのです。

FRBはリーマン・ショック後にQEで計4兆5千億ドルものマネーをバラ撒いたわけですが、いまだ1セントも「回収」していないという異常な状態に今もあります。

よって、できるだけ「回収」の方を優勢したいのはやまやまなのですが、そのためには米政策金利をせめて1.00%+α程度の水準には引き上げておかねばならなかったということなのでしょう。

振り返れば、2004年6月から2年間に渡って実施された米利上げも、最初は1.00%からスタートして最終的に5.25%に到達しました。
 

 つまり、現在の米政策金利の水準は「ついに本格的な政策対応に着手するスタート地点に立ったことを意味する」と前向きに捉えればよいものと思われます。

 

 

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t_tashima  田嶋 智太郎(たじま ともたろう)

1964年東京都生まれ。慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJモルガン・スタンレー証券勤務を経て転身。転身後は数年間、名古屋文化短期大学にて「経営学概論」、「生活情報論」の講座を受け持つ。過去20年余、主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、引いては個人の資産形成、資金運用まで幅広い範囲を分析・研究。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等の講師を務め、年間の講演回数はおよそ100回前後、これまでの累計講演回数は3000回近くに上る。

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