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田嶋智太郎の経済トレンド・ウォッチング

「米・日の企業業績好調で株高期待も再燃!?」


2017年05月01日      

 

 振り返れば、3月半ばに米連邦公開市場委員会(FOMC)が行われて以降、しばらく円高・ドル安の流れが続き、4月半ばには一時的にもドル/円が108円台前半まで下落する場面もありました。円高の流れを受けて日経平均株価も軟調な展開となり、3月半ばに1万9600円前後で推移していた日経平均株価は、4月半ばに一時1万8200円台まで大きく値下がりする場面も目の当たりにしました。

 その間、円高・ドル安と日本株安の流れが続いたのは、米政権の政策実行能力に疑問符が付けられたことや、仏大統領選の第1回投票で右翼と左翼の両極2候補が決選投票に進む可能性が危惧されたこと、さらには米朝間の軍事的緊張が急速に高まったこと、英首相が突如として総選挙の前倒し実施方針を掲げたことなど実に様々な要因が重なって、市場全体にリスク警戒ムードが色濃く漂い続けたためでした。

 

日本とアメリカ

 

 

 しかし、ここにきて一頃のような不穏なムードは一変し、足下でドル/円は111円台後半まで、日経平均株価は1万9200円程度まで大きく値を戻す展開となってきています。
執筆時においては、いまだ北朝鮮リスクへの警戒が解けておらず米朝間の緊張は続いていますが、とりあえず仏大統領選については中道系独立候補のマクロン氏と国民戦線党首のルペン氏が5月7日の決選投票に進むこととなり、世論調査ではマクロン氏がルペン氏よりもかなり優勢と伝わっています。また、3月26日には米政権からようやく税制改革案の骨子が公表され、米景気の先行きに期待するムードもやや強まってきました。

 

 もともと、足下の米主要企業の業績は堅調に推移しており、主要な米株価指標の一つであるS&P500種に採用されている企業の2017年1―3月期決算は前年同期比で+10%超の伸びとなっている模様です。これは2016年10―12月期の+8%程度よりも伸びが加速していることを示します。

 大型減税や大規模インフラ投資など、少々出遅れ気味の米経済政策が実際に発動されるのは2017年10―12月期あたりと見られており、おそらく年後半に向けて米国経済の成長は一層加速することでしょう。もちろん、市場はそれを先取りして動くものと見られます。

 

10

 

 

 その一方、今足下で国内企業の業績が俄かに好転してきていることも周知の通りです。日銀が公表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)によれば、2017年度の全規模全産業の経常利益は52.3兆円となり、ITバブルが盛り上がりを見せていた2000年度の38兆円を大幅に上回る見通しとのこと。こうした状況を背景に「2016年10―12月期の国内企業の設備投資は約10年ぶりに過去最高を更新した」と内閣府は伝えています。

 背景にあるのは、一つに輸出が好調に推移していること。財務省が発表している貿易統計によれば、3月の輸出金額は7兆2291億円となり、3月としては過去3番目の高い水準でした。輸出が前年比でプラスになりはじめたのは2016年12月からのことで、3月まで4カ月連続のプラス。いわゆる純輸出の増加は2017年を通して続く見通しであり、それは中国や台湾などアジア向け輸出の急増に支えられています。

 

貿易

 

 

 経団連がまとめた今年の春季労使交渉の第1次集計の結果によれば、今週の賃上げ率は2.18%で、2%を超えるのは4年連続。これが直ちに個人消費の活発化につながるとは言い切れないものの、このほど日銀が『経済・物価情勢の展望(展望レポート)』のなかで、足下の景気は「緩やかな拡大に転じつつある」(前回1月は「緩やかな回復基調」)としたようにジワジワと変化しつつあることは確かでしょう。

 

 今しばらく北朝鮮リスクなどへの警戒は必要と思われますが、そうした目の前の霧が少しずつ晴れて行くにつれ、あらためてドル/円や日本株の上値余地も拡がって行くものと考えられますし、同時に今後は東京五輪開催に向けた様々な動きがいよいよ本格化し始めることによって、ニッポンの不動産の価値を全体に見直す動きもさらに進んで行くものと大いに期待されます。

 

 

 

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t_tashima  田嶋 智太郎(たじま ともたろう)

1964年東京都生まれ。慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJモルガン・スタンレー証券勤務を経て転身。転身後は数年間、名古屋文化短期大学にて「経営学概論」、「生活情報論」の講座を受け持つ。過去20年余、主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、引いては個人の資産形成、資金運用まで幅広い範囲を分析・研究。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等の講師を務め、年間の講演回数はおよそ100回前後、これまでの累計講演回数は3000回近くに上る。

 

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