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「田嶋智太郎氏のコラムを更新しました。」


2018年08月02日    コラム  

田嶋智太郎の経済トレンド・ウォッチング

「東京23区内の家賃相場は上昇傾向!」


2018年08月2
      
 こにきて「住宅(住居主体型)REITは買い」との見方が市場で強まっている模様だ。実際、賃貸住宅のみを投資対象に「住居特化型REIT」として運営される「日本賃貸住宅投資法人(銘柄コード=8986)」の株価(投資口価格)は、3月下旬に8万400円の安値を付けて切り返し、7月下旬には9万1000円超の水準まで値上がりした。
それでも分配金利回りは4.2%超の水準にあり、なおも一段の上値を試しておかしくないところと言える。その理由として何より目を見張るのは「今年に入ってから発表される住宅REITの決算で明らかな賃料上昇の傾向が見て取れるようになっている」という点である。
 
 
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かねて、筆者は本欄においても「近い将来における賃料上昇」を長らく想定してきた。同時に、賃料上昇の可能性を加味することもなく目の前の「(分配金)利回り」だけで良し悪しを判断すべきではないとも主張してきたつもりである。

 7月28日付の日本経済新聞にもあったが「2020年に(および同年以降も)大量供給を控えるオフィスと違ってマンション市場の好需給は当面続きそうである」という点もやはり見逃せない。ことに東京23区内の賃貸マンション市場では、全体に需給の改善傾向がしばらく続くと見られ、実際、2018年1-3月期における賃料の伸びが前年同期比2%と約3年ぶりの高さになるなど、状況は目に見えて良くなっている。

 
少し大雑把に言えば、依然として都心回帰の傾向が続いており、東京23区内では一頃にも増して下町エリアの人口増加が続いている。結果として、2017年基準地価で上昇率の上位を占めたのは荒川区、北区、足立区などであったという。昨今は、かつての場所のイメージなどよりも第一に利便性が優先されるのであって、近年人気の北千住などのように交通の便が良いところは一段と人気が高まり、地価も賃料相場も上がって行くことだろう。

 対照的に、これまで長らく屈指の人気路線であった東急田園都市線沿線などで、多少人気に陰りが見られる地区が現れるなど、やはり大きな人の流れには確実に変化が生じ始めているのである。
とどのつまりは「立地次第」ということになるのだが、それならば「今後はどのような立地が好まれそうであるか」ということを足下で生じている全体的な流れ、生じている変化から掴んでおこうとすることは非常に重要と言えるだろう。もちろん、とくに若い世代の人たちの動向に見られる今どきの傾向というのが決め手になると言える。

最寄り駅周辺の商業施設や芸術・文化施設などの状況によっても人気度合いは違ってくるし、当然、それは将来的な物件価格と賃料の相場も左右する。その意味で、転居の予定はないにしても投資家の立場として都内各地を見て回ることは大事とも言える。

 
 
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加えて、やはり見ておきたいのは全体景気のトレンド。巷間、米保護主義の強まりが世界経済全体にとってのリスクとなり、ともすると主要各国引いては日本の経済にもダメージになりかねないなどとする論調がメディアなどで強まっている。

 確かに、いわゆる「トランプ流」などとされる政策運営や外交の姿勢には大いに慎重な対応が求められるところと言えるのだろうが、こと目の前の不動産と向き合うという次元においては、より長い目で考えることも必要であろう。不動産との付き合いは、基本的にトランプ氏が米大統領の座を退いてからの方が長い。もちろん、それは不動産との付き合いに限ったことでもない。言うまでもないことだが「当面の株式や外国為替などの相場にとってダメージ」というような発想とは別次元で不動産を考えたい。

 
 
 
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t_tashima  田嶋 智太郎(たじま ともたろう)

1964年東京都生まれ。慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJモルガン・スタンレー証券勤務を経て転身。転身後は数年間、名古屋文化短期大学にて「経営学概論」、「生活情報論」の講座を受け持つ。過去20年余、主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、引いては個人の資産形成、資金運用まで幅広い範囲を分析・研究。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等の講師を務め、年間の講演回数はおよそ100回前後、これまでの累計講演回数は3000回近くに上る。

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