新着情報

「田嶋智太郎氏のコラムを更新しました。」


2018年02月05日    コラム  

田嶋智太郎の経済トレンド・ウォッチング

「いずれドルや株価の上値余地は再び拡がる!?」


2018年02月05日      

 

結局のところ 2018年1月の日経平均株価は2万3073円(4日・始値)に始まり2万3098円(31日・終値)に終わった。
つまり、頭と尻だけで見れば1カ月で僅か25円の値上がりに留まったということである。

0205①

周知のとおり、一時は2万4000円台に乗せる場面もあり、なおも大きな流れとしての強気の基調は続いているものと見られる。ただ、この1月はドル円が8日高値をピークに月末に向けて右肩下がりの展開を続け、そのことが日経平均株価の上値を押さえる大きな要因の一つとなった。

 一つのポイントとなるのは、ドル/円の110.18円という水準で、これは昨年12月調査の全国企業短期経済観測調査(=日銀短観)における大企業・製造業の2017年度の想定為替レートの水準である。
少なからぬ国内企業の2018年3月期の業績を対象なりとも左右するものだけに捨て置けないことは確かであり、この110.18円を上回る水準(=円安方向)でドル/円が推移するようになってこないと、なかなか日経平均株価の上値余地も開けてこないというわけである。

 0205②

 少し振り返れば、この1月のドル/円が基本的に下げ基調を続けたのは、市場の一部に「日銀や欧州中央銀行(=ECB)によって近く其々の政策方針が(金融緩和の規模縮小の方向に)変更される可能性」を取り沙汰する向きがあったことに因る。

具体的には、日銀が9日に行った超長期債を対象とする買い入れオペの金額を前回より若干減額したことが判明したことと、11日に公表された12月開催分のECB理事会・議事要旨の内容に「一部、タカ派的な部分があった」と市場が勝手に判断したことにより、市場でドルが売られる一方、円とユーロが買われるという動きが強まったわけである。
 
 この「近く其々の政策方針が変更される可能性」というのは、あくまでも単に市場の一部で盛り上がった思惑に過ぎない。まず日銀に関して言えば、来年(2019年)、統一地方選と参院選の実施時期が同時に訪れるうえ、さらに消費税率の再引き上げまで予定されているということを考えた場合、ずしも景気刺激的ではない政策方針への変更・修正をここで試みるというのはかなり難しいことであるに違いない。

 少なくとも、消費税率の再引き上げの時期をまたも先延ばしするというわけには断じて行かないわけであり、ここは「今しばらくの間、なにがなんでも株価や景気拡大の動きを鈍化させたくはない」というのが政府・日銀のホンネのところと言えるだろう。

0205③

 ECBの政策方針に関しても、市場の思惑は相当に先走りし過ぎていると言わざるを得ないだろう。

その思惑というのは、単にユーロ買いの“口実”として利用されているにすぎない部分もあるのだが、結果的にユーロ高が進行してしまっていることは事実であり、そのことが今後の域内景気を鈍化させたり域内のインフレ率を低下させたりする可能性が足下では浮上してきている。

 ECBのドラギ総裁が足下のユーロ高をどれだけ嫌気しているかは、先に世界経済フォーラム年次総裁(ダボス会議)で米国のムニューシン財務長官が発した不用意なドル安容認コメントに対し「国際通貨基金(IMF)加盟国間の合意に反する」と強烈に批判を浴びせたことからも明らかである。

今後もドラギ総裁は折に触れてユーロ高をけん制するだろうし、そもそも足下の市場はドルの本質的な価値をあまりに見くびっている、見くびり過ぎている。

 そろそろ米国のインフレ率は目に見えて強含みの状態になってくるだろうし、そうなれば今年の米利上げは「年4回」ということも大いにあり得ると筆者は考える。
結果、いまあるドル/円の上値のつかえが外れることとなれば国内の主要な企業の株価や好立地と思しき不動産の価格にも一段の上値余地が拡がってくるだろう

 
 
 
過去の≪田嶋智太郎の経済トレンド・ウォッチング≫はコチラ
  
  
 
t_tashima  田嶋 智太郎(たじま ともたろう)

1964年東京都生まれ。慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJモルガン・スタンレー証券勤務を経て転身。転身後は数年間、名古屋文化短期大学にて「経営学概論」、「生活情報論」の講座を受け持つ。過去20年余、主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、引いては個人の資産形成、資金運用まで幅広い範囲を分析・研究。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等の講師を務め、年間の講演回数はおよそ100回前後、これまでの累計講演回数は3000回近くに上る。

一覧に戻る
PAGETOP