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「田嶋智太郎氏のコラムを更新いたしました。」


2017年10月03日    コラム  

田嶋智太郎の経済トレンド・ウォッチング

「今年も年末に向けて円安&日本株高が進む!?」


2017年10月03日      

 

前回更新分の本欄で、8月というのは季節的な特性として
「日・米の株価のパフォーマンスがあまりよろしくないといった傾向がある」
との点に触れ、そのうえで
「秋以降はあらためて株高再現への期待が高まものと思われる」と述べた。

 実際、8月下旬から9月初旬にかけて日経平均株価は一時的にも1万9200-300円処まで下押す場面があったものの、その後、底入れ&反発に転じてから執筆時までには一時2万0481円まで上値を伸ばし、ついに年初来高値を更新する展開となった。

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  周知のとおり、9月初旬にかけて株価が一旦弱含みとなったのは、北朝鮮リスクや巨大ハリケーン被害に対する警戒の影響も大いにあった。
結局、ハリケーン被害は心配されたほどではなかったものの、北朝鮮リスクへの警戒は今も完全には解けない。
ただ、北朝鮮による挑発行動が幾度も繰り返されるにつれ、さすがに市場も慣れてきたのか、徐々に反応が薄くなっていることも確かである。

 もちろん、9月下旬にかけての株高の背景には、9月初旬に一時107円台前半の水準まで下押す場面もあったドル/円が、執筆時までに一時113円台前半の水準まで上値を伸ばすほど大きくドル高・円安方向に振れたこともある。
これも、一つにはハリケーン被害と北朝鮮リスクに対する警戒が徐々に和らいだことと無関係ではない。

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とはいえ、それより何より大きかったのは、9月14日に発表された8月の米消費者物価指数(CPI)の伸びが事前予想よりも強めであったことと、9月19-20日の日程で行われた米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明や米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長に対する記者会見の内容、ならびにFOMC参加者らによる将来の経済・物価・金利見通しなどが、いずれも想定していたよりもタカ派的であったことである。

 その結果、市場では俄かに米12月利上げの見方が強まり、そのぶんドルに見直し買いが入ることとなった。

米消費者物価指数、つまり米国のインフレ状況を映す重要な指数の一つが強めに出ることは当然、将来の利上げ期待につながる。
一方、今回の会見におけるイエレン議長の発言からは、仮に米国のインフレ率が一定の目標水準に向けて上昇してはこない段階にあっても、インフレ以外の要素が良好であるならば、追加利上げを実施する可能性は十分にあるということも重要なメッセージとして伝わった。

 無論、実際に12月のFOMCで追加利上げ実施の決定が下されるかどうかは、まだ誰にもわからない。
先に公表された大型の米税制改革の行方もいまだ不透明である。
しかし、それ以前に市場で大いに取り沙汰され、場合によっては一段のドル買い材料と見做され得るビッグ・イベントがある。それは、次期FRB議長の人選だ。

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 周知のとおり、イエレン現議長は来年2月3日に任期満了の時を迎える。
イエレン氏続投というケースもなくはないが、同氏はトランプ大統領が意欲的に進める金融規制の緩和方針を「控えめに進めるべき」とけん制しており、その点は大いに続投の障害となり得る。
 イエレン氏以外では、米コロンビア大学経営大学院のハバード教授や米スタンフォード大学のテーラー教授、米スタンフォード大学の客員研究員で元FRB理事を務めたウォーシュ氏などが候補に挙がっているわけだが、実のところイエレン氏以外の候補は皆、イエレン氏よりずっとタカ派的な見解をこれまでに表明している。

つまり、人選の行方によっては、その話題自体がドル買い材料視される可能性も大いにあるし、そうなれば仮に12月のFOMCで利上げが見送られることとなっても、その時点で市場の目線はすでに次期FRB議長の政策方針の方に移っていると思われる。

 よって、今年も昨年と同様、年末に向けてドル高・円安の傾向が強くなり、結果的に株価の上昇や景気の拡大が一層進む可能性もあるものと思われる。

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t_tashima  田嶋 智太郎(たじま ともたろう)

1964年東京都生まれ。慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJモルガン・スタンレー証券勤務を経て転身。転身後は数年間、名古屋文化短期大学にて「経営学概論」、「生活情報論」の講座を受け持つ。過去20年余、主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、引いては個人の資産形成、資金運用まで幅広い範囲を分析・研究。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等の講師を務め、年間の講演回数はおよそ100回前後、これまでの累計講演回数は3000回近くに上る。

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